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白鴉団 団長の日記 ~子猫と偽善~
失業保険を受け取るために車を走らせ、

職安の離れにある駐車場から歩いて向かっているところ、

なにやら声が聞こえる。


『な~な~』


明らか、人間じゃないかわいい声。

子猫か?



なんとなく、声の行き先に足を向けるとやっぱり子猫。

小さいダンボールの中で一匹元気よく顔と手を出して鳴いている。


おおお・・・・かわえぇぇ!!!!


思わず撫でてやる。なんてめんこい子なんだ。

もって帰りてぇ。

いや、ムリだ・・・・・ウチには猫アレルギーの弟がいる。


名残惜しいが誰かに拾ってもらえ、子猫ちゃん。

とりあえず俺は職安に行かねばならない・・・・・・またあとでな・・・・


向かおうとするも、なーなー鳴いてかわいそすぎて、

背中がかきむしられるような思いを抱いたまま職安へと向かう。




職安での話もほとんど耳に入らぬまま、一通り終わらせて

走ってさっきのとこまで向かう。

まってろ・・・子猫ちゃん


って、あれ、いねええええええええええええええええ!!!!


どこだ、どこだとキョロキョロしてると、いたいた。

なんか口にくわえてる。
どれどれ見せてみろ。



って虫かよ!!
すでに野生化してる!!!


猫って虫も食うんだったよなーそういや・・・なんて思いながら、

じゃれあっていて気づく。

職安の駐車場なので、かなり人が通り過ぎていくのだが、

誰も猫に近寄らない。


声聞こえてるはずなのに・・・・・

冷てぇ・・・なんて冷てぇんだ・・・・・滋賀の人間達・・・



いや、俺のほうが冷たいか・・・・・

こうして、一瞬の優しさを見せても所詮偽善。

飼ってやる事なんてできないのだから。



しかし、なんてかわいいんだ。

この目のうるうる感、人なつっこい性格、虫を食う野生度。

いつまで遊んでいても飽きない。


コンビニでミルクを買おうと、ふと抱き上げて連れて行った。

俺には飼ってやることはできないけど、

せめて一飯ぐらい世話してやってもいいだろう。

それが逆に子猫にとって、生きる為の力に甘えを生むことになるかもしれないが・・・・



買って戻ったときに気づく。




器がねぇ・・・・・・考えてなかった、そこまで・・・


手にちょこちょこ入れながら飲ませる。

チロチロ飲む姿・・・これもう犯罪級のかわいさだろ!!!!

もう駄目でもともと。もって帰ってやろうか。


駄目だ!弟、猫アレルギーなんだ!!!

いや、もって帰ろう!!!

駄目だ!弟、猫アレルギーなんだ!!!


そうこう、考えてるうちにミルクを上げてる姿を見たのか、匂いをかいできたのか。

同じ柄の子猫がさらに2匹、家の裏からやってきた。






きょ!!!
兄弟だとォォォォ!!!?



しかも、3匹兄弟か!!!!

3匹とかムリーー!!!!

この兄弟を一匹だけ生き別れにするとかもできねぇ。


ミルクを3匹で仲良く全部飲ませたあと、

バイバイと撫でてあげて、車に向かう。


なーなー!

背中から声が聞こえる。


いや、足元からだった。

オイオイ、ついてきちゃ駄目だろ ;;


柄でもう、3匹全員判別つくまでになっていた。

ついてきたのは、始めに一匹だった子猫。


抱き上げてダンボールに戻してやる。


すまんなぁ、飼って上げられないんだ。

実際声に出してはないが、そんな思いいっぱいで撫でて、

微妙に泣きそうになりながら、車まで走った。



車で一服したあと、鈍い決心を押すように車のエンジンをかけ、

猫がいた帰り道を通ると、誰かが子猫たちのダンボールの前でしゃがんでいた。


やっぱ、滋賀も捨てたもんじゃないな・・・・
by shirokarasudan | 2007-02-28 16:43 | 団長のリアル日記
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