2006年 07月 09日 ( 1 )
白鴉団 団長の日記 ~城門戦~
突き刺すような太陽が照り付ける朝、
毎朝遅刻ギリギリながら、通勤するこの道。
今日はいつもより混んでるか・・・

私は大きく、そして軽くも深呼吸を二、三度してみる。
深呼吸をしながら、俺の運もここまでかと呟いた。
ピンチというものを私は嫌いではない。
それは快感を得るための投資のようなものだと思っている。
むしろ、ぞくぞくするような緊張感も悪くない。
第一、危機のない道のりには成長の可能性もないのだから。

私は顔を上げた。

そしてまた一息吸ってから、冷静になれと周囲を見渡す。
状況はじつにシンプルだった。

私はひどい下痢だった。

足を前に出すたびに、
頭の先から言い様のない何かが体の隅々まで落ちていくゾクゾク感が襲う。

今日から入社する可愛いと噂の新入社員をひと目でも見たい。
踏み出す一歩にも力が入るというものだ。
だが、足があがらない。あげるとどうなるかは自分が一番わかっている。


すさまじい下半身の城門戦。
この敵の数、、、、分が悪いな、、、
だが、なんとしてでも城門だけは…城門だけは!!!
守りきらねばならぬ!!!


立ち尽くし、下半身に意識を集中し、10分はいただろうか・・・
いや、ほんの1分しかたってなかったかもしれない。
更に深呼吸をする。
その瞬間、神は降臨した。
頭から何か緊張感が消えたのだ。

時は満ちた。今しかない!!
そう直感し私は土を蹴った。
いける!歩ける!内股キープを忘れず、歩いた。
難関の下り階段もなんのその、私の旅は順調だった。

後、5分で遅刻だが、このペースでいけば間に合う。
思わず、顔がほころぶ。
ケツのしまり具合もほころぶ。

その瞬間をヤツは見逃さなかった。
狩人の達人は、物を捕らえる瞬間にスッと気配を絶ち、
素人には見えぬ獣のスキを見つけそれを逃さないという。
襲った衝撃はまさにそれだった。

もう駄目だ。彼はここで漏らすのだ。
そんな意識が遠のきつつあった彼を救ったのは10M先のコンビニだった。

コ、コンビニ!?コンビニがあるってこたぁ、トイレがあるってこった。
トイレがあるってこたぁ、用をたせるってこったぁ。
おらぁ、たすかるべぇ。
もはや、自我はなくなっていた。

意識が無意識へと流れていく。

私は店の前に立ち、自動ドアが開いた瞬間、思う。
トイレにこのまま駆け込めば、確実なる遅刻であろう。
間違いなく15分はこもりつくす。
いや、それ以前にトイレに伏兵(先客)がいたら、もう城門は絶望的だ!

私の足が止まった。

遅刻…下痢…。地獄…ヘリ…。へ、ヘリがあったら助かるだろうなあ…へへへ。
そしたらよぉ、俺ブイーンって飛んでよう、
お空のおトイレで気持ちよく…

そんなバカな!!!!
現実をみるんだ俺。
遅刻か漏らすかの究極の二択!

新入社員を前に遅刻は許されない。
もちろん漏らすなんてもってのほかだ!

私は一つの決断をした。
これは賭けだ。
職場まで我慢し、社長と朝の挨拶をしてからトイレに素早く移動する。
素晴らしいプランだ、もうこれしかない。
てか、もう限界。

ふらつく足を前へ前へ もつれる足を前へ前へ 
顔が青ざめ、意識がとびそうになった。
ふらつく足を前へ前へ もつれる足を前へ前へ 
もう限界だとわかっていた。
ふらつく足を前へ前へ もつれる足を前へ前へ 
一歩一歩確実に命の炎が消えていく。
カイシャマデ
モウスグ、オマエスゴイ、ヨクガンバッテル、キテル
ケツニモナニカキテル、スーパーゲンカイ。

意識は混沌を極め、いっそ漏らしてもかまわないとさえ思った。
だが、心の中で歌を歌い、励ます。

よし見えた・・・・・会社が・・・・オアシスが・・・・


会社到着後、新人が元気よく挨拶している横をフル無視で駆け抜け、
恥も何もかも、かなぐり捨て、 トイレへと突撃した。

彼は言う。
『アソコに全てをおいてきた・・・
 取れるものなら取ってみな!』

満足げな顔とは裏腹に、既にその日一日の気力をすべて振り絞りきっていた。
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by shirokarasudan | 2006-07-09 16:56 | 団長のリアル日記